写真とふたこと

たまにみこと

天邪鬼その2

f:id:sugorocktei:20151223215333j:plain

洋館が保存されている界隈で、キャンドルを使ったライトアップがあると聞いて出掛けた。夕方を前にボランティアと思われる方々がキャンドルを並べて行き、太陽の姿が見えなくなる頃から一つずつキャンドルに灯を点けていった。

 

キャンドルの灯を見たかったのは確かだけど、同時にいい写真が撮れると良いなとも思っていた。が、キャンドルを見るのも全体の写真を撮るのも止めてしまった。強めに吹く風の中中腰になって一個ずつ灯を点けていく人々と、カメラの三脚をベストポジションに据えてそれが終わるのを待つ人々、そして遠巻きからそれをぼんやり見る私。始めの方で灯が点いたものの中には風のせいで消えてしまっているものも出て来る。どうにも居心地が悪くなってしまった。火を扱うことだから、関係者以外が大勢関わるのはそれはそれで不都合が有るだろうが、灯を点ける人と観る人(撮る人)の境界が同じ目の前ではっきり分かれているのがどうにも嫌になった。ということで何となく、洋館がある敷地の出口付近でキャンドル一つのみを撮影。

 

「撮るのもを見るのではなくて、見たものを撮る」ということを考えた。まずはその場を楽しむことが有って写真が有る。何事も過ぎ去って行くので、「お、これは」と感じた瞬間はもう戻らないし、その瞬間を写真におさめようとした時はもう遅いのかもしれない。が、やっぱり自分の目と感覚が有ってその後に写真が来るのは変えられないなと思う。