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新しい過去からの招待状 〜THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR(atさいたまスーパーアリーナ 2016.07.09/2016.7.10)〜

ついにTHE YELLOW MONKEYのライブに行った。

会場入り口を通過する時の興奮は、普段気にする手ぶれもスルーしてしまうほど。

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大仰な書き方をしてしまったが、思い返してみると割と単純で、「CDでしか聞いたことのないDVDでしか見たことのない彼らのライブに一度行ってみたい」と思って行ってみたらやっぱり凄かった、そんな感じだった。案外普通だったということではなく、初めて見聞きした時の興奮とか感動ただそれだけが残っている。

 

音楽を聴き始めた中学生辺りで既に存在していたイエローモンキーは、すぐに好きになったわけではなく高校卒業の頃から好きになった。そこからはややこしい思春期から思春期の名残が全然消えない時期(いつまでだったろうか…大体、今消えているのか?いつ聴いても「胸や背中は大人だけれど」の歌詞が素晴らしいと思うあたりは相当よろしくない症状か)にどっぷりはまり、その時々の状況や心情をイエローモンキーの音楽になぞらえて自己満足してきた。吉井さんが書く歌詞やバンドの背景を好きなように解釈した。現在進行形のソロ活動までも同じように。

そうしてみると初めて行くライブというよりは様々な思いを抱えて…となりそうだったのだが、目の前のライブを観ているととてもとても単純だった。「今このバンドのライブを観れて良かった。いいもん見た。得した。」CDで聴いてかっこいいはずだと想像してそれ以上だった時の嬉しさ、初めて生で体験する時の興奮、一人で満悦する時間と人と話し込みたくなる時間、それだけだったしそれこそ自分が音楽とライブに求める全てだった。

 

イエローモンキーの音楽は、歌詞が独特だ。音には歌謡曲の雰囲気が漂う。今のライブでも確かにその要素は堪能出来る。ただ、それはあくまでも要素であって歌詞も音も真っ直ぐであることの方が骨格なんじゃないか。埼玉で聴いた彼らの歌は、言葉をそのまま聴いて頭の中の情景や胸の中の気持ちに結び付けることが出来るもののように感じた。バンドの音は、「あ!イエモンだ!」となりつつも、癖を快感とするようなものではなく、真っ直ぐ塊で押し寄せて来る自分がかっこいいと思うロックバンドの音だった。これは人それぞれだろうけど、懐かしいものではなく今聴きたいものだった。それ故に、バンドの解散からこれまで…とか、その間の自分は…とかそういうのを抜きにして「今このバンドのライブを観れて良かった」と感じることが出来たのかもしれない。「これ好きかも」と思ってCDを聴いて「あ〜ライブ行ってみたいな」と思って、実際に行ってみる。この過程に10年以上掛かるって、洋楽バンドでもあるまいしと思うがイエローモンキーに関してはそうなった。が、初めて彼らのライブを体験した後となっては、「この間CD買ったバンドのライブが凄かった」みたいに、まさに今進行しているバンドとしてこれまでの長〜い時間がぎゅっと凝縮された様にも感じる。

この感じ方自体が感傷的で、人間の時間に対する感覚なんてそんなもんと言われれればそれまでだろうけど。

 

イエローモンキーについて、元々かっこ良かったのを本人たちが受け付けられなかったのか、時代とズレてしまったのか、今はまたタイムリーな何かが有るのか、それともファンだけの盛り上がりなのか、その全部なのか、それはよく分からないしどれでも良い。しかし『新しい過去から君への招待状』とは上手いこと歌ってるよなと思う。彼らの今現在がそれなのだと感じたから。

今現在THE YELLOW MONKEが活動していて今後もそれが続く様子であることが嬉しくて楽しみで仕様がない。この先どんなことをやってくれるのか?めちゃくちゃ目立って欲しいと思っている。「人それぞれだから」と断りつつも、同時に実は「こんなかっこいいものが隅に置かれるのはおかしい」とする自分が居る。ツアーパンフに付属しているドキュメンとDVDを見ていて、再結集発表前後の吉井さんの表情に目が行った。照れ隠しか、一種の戸惑いなのかもしれないが、ちょっとシリアスというか単純なお祝いではない表情に見受けられた。個人的には、吉井和哉はバンドのフロントマンとしてTHE YELLOW MONKEYをどうしてやろうかと既に思案している様にも見えて、それだけで何か大きなものを期待してしまっている。

 

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